山陽新幹線は、東海道新幹線に比べるとバラエティに富んだ多種多様な車両が使用されてきました。
その要因を3つあげるとすると、輸送量の絶対的な違い・航空機との激しい競合関係・JR西日本の厳しい経営環境があげられると思います。
今回、当サイトでは多種多様な車両のなかでもとくに特徴のある3形式「0系」・「500系」・「N700系」をご紹介したいと思います。
形式 | 製造初年 | 製造終了年 | 製造両数 | 最高速度 | 定員 |
---|---|---|---|---|---|
0系 16両編成 |
1964年 | 1986年 | 3,216両 | 220km/h | 1,342名 |
12両編成 | / | / | / | / | 987名 |
6両編成 | / | / | / | / | 368名 |
100系 16両編成 |
1985年 | 1992年 | 1,056両 | 275km/h | 1,285名 |
6両編成 | / | / | / | / | 394名 |
4両編成 | / | / | / | / | 250名 |
300系 16両編成 |
1982年 | 1998年 | 1,120両 | 285km/h | 1,323名 |
500系 16両編成 |
1996年 | 1998年 | 144両 | 300km/h | 1,324名 |
8両編成 | / | / | / | 285km/h | 608名 |
700系 16両編成 |
1998年 | 2005年 | 1,200両 | 285km/h | 1,323名 |
8両編成 | 2000年 | 2006年 | 128両 | 285km/h | 571名 |
N700系 16両編成 |
2006年 | / | 1,440両 | 300km/h | 1,323名 |
8両編成 | 2008年 | / | 192両 | 300km/h | 546名 |
歴代新幹線形式別性能比較表
系列別車両紹介
初代新幹線「0系」
新幹線と言えばこの「0系」を思い出す方が多いでしょう。1964(昭和39)年、東海道新幹線の開業以来、1986(昭和61)年までに3,216両が製造されました。
白地に青色帯の配色は青空と白い雲からイメージされました。「0系」のシンボルともいえる、先頭の円形部分は「光前頭灯」といい、緊急時に使用する連結器が収納されています。
華々しくデビューした”夢の超特急”「0系」は、東海道・山陽新幹線の主力として「ひかり」と「こだま」で40年以上にわたり運用されました。しかし、100系の登場と老朽化により1999(平成11)年には東海道新幹線から引退、山陽新幹線のみの運転となりました。
山陽新幹線では、「ひかり」としての運転は2000(平成12)年に終了し、その後は「こだま」だけに使用され、編成両数も4両と6両に短縮され、青い帯の色も緑色系に変更されました。2008(平成20)年12月14日が”ラストラン”となりましたが、直前に一部の編成を白と青色のオリジナル塗装に戻して、最後の花道を飾りました。
最高速度は当初は200km/hでしたが、最終的には220km/hに引き上げられました。
- 初代新幹線「0系」
- 0系の特徴「光前頭灯」
- JR西日本色の「0系」
日本で最初に営業運転300km/hを達成した「500系」
300km/h運転用にJR西日本が開発した、オール電動車(モーター付き)の車両。
運転室のガラスはジェット戦闘機の風防のように3次元曲面ガラスが入るという、スタイリッシュなものが採用されました。
斜体断面が円形なので室内が狭く感ぜられ、運転台の位置が低いために前方の視認性も劣るなどの点を、JR東海は問題視し、N700系の大量増備が開始されると、東海道新幹線への直通運転中止が決定。山陽新幹線の「こだま」用に改造され、編成も16両から8両へ短くなりました。
2008(平成20)年に「こだま」に転用されてからは全席禁煙になりました。その一方、3号車・7号車に喫煙室が設けられ広めのスペースが確保されています。また、新大阪寄り8号車乗務員室後方の客室に「運転シュミレーター」を設置し、乗客が自由に遊べるスペースとなっています。
320km/h走行が可能な500系でしたが、「こだま」専用に現在の運転最高速度は285km/hになっています。
- 最高速度320km/h!「500系」
- ジェット戦闘機のような先頭部
- 8号車内の運転シュミレーター
最新鋭メカニズムを取り入れた「N700系」
500系に代わり、山陽新幹線で300km/h、東海道新幹線で270km/hで走行する車両です。東海道新幹線に数多くある半径2500mの曲線区間を通過するとき、従来車は255km/hに速度を落としていましたが、N700系では斜体を1度傾ける装置を設置したことから270km/h走行が可能となりました。
正面スタイルは700系と同様に”アヒルのくちばし”タイプですが、先頭車だけ車体の中央あたりから運転席部分までの車体高を低くするなどの改良を行いました。このため、700系と同じ定員を確保しながらも300km/h走行時(特にトンネル突入時)の騒音が抑制されています。
居住性を向上させるため、車体側面の厚みを薄くして、車内幅を広げました。その半面、側面の窓が小さくなり、車窓の視界は悪くなっています。また、普通車の壁側の座席とグリーン車の全席に100Vコンセントを設置。グリーン車の座席形状も改善され、長時間の乗車に伴う疲労軽減を果たしています。
- 現在の最新鋭「N700系」
- 3D曲線が美しい先頭部
- ゆったりしたグリーン車の座席